自分の会社に不満が無いのに、自らのプライドで転職を選択して、後でうまくいかないと嘆いている人を目にします。
私も同じような悩みを持ちながら、転職を体験したので少しでも参考になれば幸いです。
・転職先が決まらないで焦ることになる理由
会社に長年勤めていると手際が良くなり、業務量をこなすことができるようになります。
新卒の時には、常識的なことや電話応対でも上手くいかないで、注意されたり説教されたものです。
いつの間にやらそんな自分が、後輩のフレッシュマンを指導する立場になっている。
そのころには満足できない待遇に、隠れて不満タラタラの青年時代とは違い、歳相応のお金を頂けるくらいになった自分を褒めたいくらい。
そんな時期に、学生の頃の同級生に再会することがあり、他愛も無い話で盛り上がります。
話題の中心は家族の事が多いのですが、次に触れられるのが仕事関係が圧倒的です。
畏まって名刺交換すると、やんちゃで悪さばかりしていたA氏は転職して、中堅企業で部長に昇進したと聞かされます。
複雑な心境で愛想笑いをするのが精一杯。
会社の規模は違いますが、その肩書に自分が劣るような気がして考えてしまいます。
他にも自分で起業して、夫婦で協力しながら稼いでいるB氏は控えめな存在だったのに、自分の年収の3倍も稼ぐようになっているのです。
今まで何十年もの間会社のために尽くしてきて、辛い事も乗り越えてきたのに、彼らとの現状の差を痛感させられる瞬間です。
普通に生活する分には何の問題も無いのだけれど、通常業務をしながらも、肩書や収入面のことに過剰に反応し頭を過ぎるのです。
身分相応で満たされているのに高望みをしてしまい、些細のことが原因でついには退職してしまうのです。
事前に同業他社や取引先などで情報交換して、転職への道筋を築けないままに勢いで辞めてしまうことが最も悲劇です。
焦る理由は様々で、自分の実力を過信してしまう転職も少なくないようです。
同期入社で学歴もほとんど同じで、主任、係長と順調に昇格していたものが、ある日を境にして溝が生れてきます。
ライバルはいつの間にか上司になってしまい、手の届かない存在になってしまう。
会社のために汗水流して働いてきたのに….
部下の失敗や上司の残務も飲み込んでやってきたのに、同期のアイツは昇進して自分は現状維持なんて耐えられない。
密かにゴマすり野郎と心の中で叫ぶ。
もっとできるし会社に認めて欲しい思いが募るのです。
そこで思い切った転職行動をすることになり、長年お世話になった会社を飛び出して、自分を高く評価してくれる会社を求めて転職を目指すのです。
要領の良い人なら、適当に働きながら空き時間に面接を受けたり、企業に問い合わせして自分の要望にマッチした転職先を見つけてから退職するでしょう。
しかし何も準備しないままに、安易に辞めて転職活動に焦るあまり、事態は悪循環となり上手くいかないことになるのです。
最初の頃は年齢など関係ない
「スキルと実績があればどうにかなるだろう」
「今まで大勢の部下を従えてやってきた」
「これだけスキルがあるのに他の会社がほっとく訳がない」
しかしそんな願望を打ち砕かれるのに、時間は掛かりません。
ハローワークに週3回通いながら、自分の要望とする仕事を求めて転職活動しても、年齢的なことがネックになり中々決まりません。
最初の頃は失業保険の恩恵により、無収入を免れていますが自己都合の場合には期間が短いので、あっというまに収入は途絶えます。
妻からも就職活動について問われるも、良いことが言えない自分が情けなく感じてきます。
私の会社ではありませんが、中には劣悪な環境で無理な作業を強いられる場合も少なくないようです。
それなりのポストを与えられたら、経験の浅い部下を配置されて厳しいノルマを与えるのです。
限られた時間ではこなせないので、早朝から出勤して夜遅くまで残業の日々、休日も午後から会社にいるのが常態化しています。
子供の寝顔を見る日々で、家族との関係も悪化します。
息抜きができない状況で精神的にも肉体的にも限界を迎えて、最悪は無気力な状態となり退職を迎えることになるのです。
以前のように体調を戻すには時間が掛かります。
職場環境がそうさせているのですが、空白期間が長ければ長いだけ転職には不利になるのです。
悪夢としか言えません。
・転職先がうまくいかない企業側の理由
中途採用者に求めているのは、何と言っても即戦力となる人材です。
しかしそこには、年齢の壁も存在することは確かなのです。
年功序列で積み上がってきた給与水準を希望してこられると、業績向上にどれくらい期待できるか未知数な部分も否定できません。
与えられた部署の若い上司の下で、協力し合いながら業務を遂行するには、自分のプライドを捨てて協調性を保てる人間性が必要です。
2倍の給与を賭けるなら、経験は数年でも若くて馬力があり素直な人材に傾くことは、容易に想像できます。
もう一つ考えられる要素としては、それなりに経験してきた転職者の場合には、先を読む力は当然にあり、与えられた業務の難易度や、簡単に言うと、どれが大変でこの作業なら容易くて楽だなと選別してしまうのです。
気に入らない場合には、年下の上司に対して反発することもあるでしょう。
自分が採用してもらった立場であり、感謝する気持ちで業務に取り組んで欲しいものですが、中々全ての転職者が謙虚になれるとは到底思えません。
・どうしたら転職が上手くいくのか
転職を迎えられる方々の殆どが、家庭を持っているのです。
中には子供の成長と共に、借家から持家に住み替えられた方もいます。
頭金を準備したとしても、数十年の長期住宅ローンが肩に伸し掛かっていて、とにかく高待遇で、年収も何十万単位でアップを希望することも珍しくないのはないですか。
果たしてそんな状況で転職が上手くいくのでしょうか?
目の前の待遇ばかりに捉われてしまい、本当に自分の実力を過剰評価してないでしょうか。
謙虚な気持ちで「御社のためにできる限りのことは何でもします」くらいの必死さが、採用担当者に伝わる熱意が必要だと思います。
いつまでも働かないで生活費は誰が稼ぐのでしょうか?
妻も耐えかねて「前の職場に戻った方がいいんじゃない」なんて言われてしまい、自分のプライドをズタズタに切り刻まれる。
「こんなはずじゃなかったのに….」
もう一度新入社員の気持ちで、中年であっても謙虚に年下の先輩たちにも打ち解ける気持ちが大切です。
その企業で一生を終えるくらいの気迫を持ちながら、転職活動に臨むことが採用を勝ち取る近道です。
試しに異業種の方が良かったとか、新しいジャンルを見てみたいとか、夢物語を語っている間は就職は遠退くことでしょう。
・転職活動が上手くいくポイント
1、転職を考えた時には、家族が1年間生活できるだけの貯金を別枠で用意する。
2、どんなに仕事が辛くても転職先が決まってから退職する。
3、現業の残務引継ぎは的確に行い、トラブルが起きないように対処する。
4、自分の実績や資格などを活かせる企業を探す。
5、もし新たな異業種に転職したいなら、余裕のある定年退職後にする。
6、現在中堅管理職でも、平社員になる可能性があるので覚悟する。(プライドは捨てる)
7、退職する前に同業他社や取引先との交流をしておく。
8、普段から実績のある転職サイトで情報収集して、気になる企業はチェックしておく。
9、少ない休日は家族サービスをしっかりして、妻や子供たちの協力が得られる環境作りをしておく。
10、生活費の見直しをする。(年収が下がる可能性があるので)
11、パソコンスキルを磨いておくと何かと便利。(エクセル、ワードなど)
12、書類選考や面接で不合格になったら理由を聞いて次回に活かす。
13、最終面接のシュミレーションをして備える。(頭が真っ白になったり適当な回答はダメ)
14、企業に対して自分の年収などの要望ばかりを押し付けすぎないで、何でもやるくらいの謙虚な気持ちで対応する。
・上手くいく転職活動の方法
1、最寄りのハローワークで相談することで担当者から連絡が貰える。
2、ネットや求人情報紙などで調べて問い合わせする。
3、会社員時代の関係者や取引先などと交流して転職情報の収集する。
4、親兄弟、親戚の仕事を手伝う。(つなぎの仕事として)
・孤立は大敵!協力者を増やす!
会社の同僚は、仕事の関係で残業した帰りに一杯したりして、親しい関係になるものです。
ところが転職する目的で職場を離れてしまえば、以前のような関係でいることは難しいもの。
表向きは円満退社でも人それぞれで、裏切り者のレッテルを貼る人も存在します。
本当の気心が知れた関係を社内で構築できていれば、一人でもいいので連絡を取り合い、たまには気晴らしに飲み歩きながら業界の活きた情報を得ることも大事です。
学生の頃の同級生も、本音で話し合える人物の一人じゃないでしょうか。
疎遠になっていれば、久しぶりに連絡を取り合い近況を報告してもらい、他業界の景気などの動向を聞いたりすればチャンスは広がります。
そして最も大事なのが家族の協力です。
仕事人間で長年活きてきた方なら、毎晩帰りが遅くて子供たちの気持ちが、分からなくなっているころじゃないですか?
家にいつもいる機会を利用して、自分の仕事の実績や考え方などを、伝えてみてもいいでしょう。
ウザいと思われても、実際その仕事で家族を養ってきた事実は変りません。
真剣に話をすれば、理解してもらえるのではないでしょうか。
旦那が苦境に立たされている時に、近くで支えてくれて欲しい存在が妻です。
家庭の事をほったらかしにして、長い間生活してきた報いとして、これからの人生について語り合って下さい。
反対されることもあるでしょうが、誠意を持って訴えれば心に響くでしょう。
しかしそれには思いやりと、感謝の気持ちを持ち続けることが大切で、言葉に出して「ありがとう」と事あるごとに言ってください。
そうすれば、強力な協力者ができて、自分の心の支えとなり最良の結果が得られることでしょう。
・まとめ
「転職先が決まらないで焦ることになる理由」
会社を長年勤めていると、年功序列で昇進して後輩を指導するようになる。
不満はないが同級生とかが部長だったり、独立して稼がれていると、現状の自分に疑問を持つようになる。
社内でも同期が自分よりも、昇格してしまうと会社のために、汗水流して働いてきたことを後悔する。
そして自分の力を過信してしまい、勢いで辞めてしまい、現実は年齢的なことがネックで仕事が決まらない。
「転職先がうまくいかない企業側の理由」
中途採用者は即戦力であることは最低条件。
若い上司の下でもプライドを捨て協調性重視。
ライバルは若くて元気があり給与の安い人材。
謙虚な気持ちで御社のためにできる限りのことをする姿勢が重要。
「転職活動がうまくいくポイント」
1、転職は家族の1年間の生活を貯金。
2、転職先が決まってから退職。
など
「上手くいく転職活動の方法」
1、ハローワークで相談する。
2、ネットや求人情報紙などで調べる。
3、転職エージェントに登録。
4、会社員時代の知り合いからの転職情報。
5、親兄弟、親戚の手伝い。
転職は孤立すると上手くいかないので、前職の同僚や学生の頃の同級生などの、気心が知れた友人と繋がる。
妻や子供たちとも話し合い、再び理解し合える関係性を取り戻すことが転職成功のカギとなる。