住宅の基礎工事で手抜きをされた物件をお見受けすることがあります。
業者を信用することは構いませんが、大金を支払って購入したご自分の住宅なのであまりにも任せっきりなのも考えものでしょう。
・基礎工事に関心がありますか
マイホームをご計画中で建物の基礎工事を特に、興味を持たれている施主がどれくらいいらっしゃるでしょうか。
地中での作業となる基礎工事は敷地を重機で掘り起こし鉄筋や型枠を取り付けてコンクリートを打設する作業となり、建物が立ち上がってもいない状態なので関心も薄い場合が多いようです。
躯体である基礎工事は専門的な知識がなければ、どこを注意して見たら良いのか分からないのは当然のことでしょう。
木造の建物本体を支える基礎がしっかりしていないと寿命に大きく影響を及ぼす重要な部分です。
これから一戸建てを建築されるのであれば後悔しないためにも基礎工事の品質を守るポイントを一緒に見ていきましょう。
・基礎工事で手抜き工事をされないポイント
現場担当者と一緒に現場を見学
基礎工事の住宅現場は敷地に穴が掘られていたり、差筋などで危険な場所もあるので必ず現場担当者と一緒に見学しましょう。
気になる点があったら現場の作業員へ直接言わず現場担当者に後で伝えましょう。
指示系統は現場の責任者が統括しているので混乱を招かないように配慮します。
設計事務所に管理を依頼されたい方に参考になる記事があるのでご覧ください。
根切り底を確認する
基礎を設置する根切り底はバックホーで掘削して土を掻き出していきますが、水が溜まっていたり軟弱な地盤の場合には現場担当者が確認して必要であれば地盤改良をします。
対策を講じずに砕石を敷き込んでしまうと転圧も上手くできずに沈下する可能性もあるので注意が必要です。
基礎コンクリート打設を見学する
基礎コンクリートを打設する前には配筋の結束線や識別札、釘、型枠の切断クズ、吸殻などで汚れたままコンクリートを打設してしまうと品質に、影響を及ぼすので取り除き洗浄をしますが見落としが無いか確認しましょう。
打設中も作業員が移動する際にベース筋を踏み抜いてしまい、結束線が外れてしまうことがあるので注意が必要です。
底盤打設時に立ち上がりの鉄筋がコンクリートで汚れてしまった場合は、湿らせたブラシなどで清掃をしているのか確かめましょう。
コンクリートの出荷時間を確認する
コンクリートは時間の経過と共に硬化してくるので練り混ぜから現場到着まで1.5時間と定められています。
ミキサー車が渋滞に巻き込まれたり、現場で型枠の固定が不十分で噴き出してしまい時間が掛かってしまうと、コンクリートの品質に影響を及ぼすので注意が必要です。
特に夏場は水分が蒸発しやすい環境になりやすいので、コンクリートの出荷時間をコンクリートの納品書により確認すると良いでしょう。
合わせて構造図通りのコンクリートの配合でJIS規格であるかも確認します。
雨天では行わない作業がある
コンクリートを利用する作業は悪天候の時には向いていません。
コンクリート配合で大切な水分量が変化してしまうので品質に影響を及ぼします。
工期に追われてしまうと無理な基礎工事を行うことが考えられるので注意が必要でしょう。
鉄筋のかぶりを確認する
基礎の鉄筋が腐食してしまうと耐久性に影響を及ぼしてしまいますが、基礎底や型枠と配筋が適切な空きが確保されていないと鉄筋が錆びやすくなってしまいます。
かぶりを確保するためのスペーサーブロックを入れ忘れたり、コンクリート打設時にバイブレーターで接触して外れてしまいかぶりが薄くなってしまうことがあります。
配筋検査の時にはスケールで底盤部分は60mm以上で立上り部分は40mm以上のかぶり厚さを計測して調べますが、それは現場担当者に任せて遠目に見ても明らかに鉄筋が型枠に接触している部分などがある場合は、素人でも気が付くので現場担当者に教えてあげましょう。
基礎型枠のばらしを確認する
基礎コンクリート打設後に養生期間が確保されているのか、型枠を取り外した躯体面にジャンカや打継が上手くいかずにコールドジョイントが見られないかを確認します。
気が付かずモルタルを薄塗りされる可能性があるので現場担当者に補修方法を確認しておきましょう。
基礎の周辺も土で埋め戻してしまうと見えなくなるし、土の締固めも規定通りにされているのか同時に確かめます。
ご自宅がベタ基礎の場合に参考になる流れを紹介していますので現場見学のタイミングを検討されて下さい。
建売住宅をお考えの方にトラブルを防ぐために参考になる記事があります。
・ベタ基礎の工程
地盤調査
住宅が建築される地盤が建物の基礎を十分支持することができるのかを調べます。
軟弱な地盤の場合には地盤改良することで地盤を強固にします。
軟弱の度合いによって表層をセメント系固化材を混入攪拌できますが、支持層が深い場合には柱状改良や鋼管杭を打ち込む工法などが検討されます。
丈夫な土地探しでお困りなら無料でご相談できるサービスがあるので記事にしました。
遣り方
敷地内に基準となる建物の位置や高さを木杭や縄などを利用して再現して、施主と設計、現場担当者立会いで建物位置を最終確認をします。
一旦掘削が始まってしまうと建物の位置を移動することが難しくなるので事前に配置図で確認しましょう。
根切り
一戸建ての基礎を根切り底まで重機により掘削して、排土は埋戻しで利用する分は敷地内に保管します。
基礎の体積分で余る分は、残土として搬出処分します。
砕石の敷き込み
根切り底に敷き込む砕石や割栗石は、転圧機械により表面を叩いてしっかり締め固めます。
防湿シート敷き込み
地中にこもっている湿気が室内に侵入しないように、防湿シートを敷き込むことで遮断します。
防湿シート間の重ねが不十分だと、その部分から水分が流入する可能性があるので注意しましょう。
捨てコンクリート打設
基礎の墨出しと型枠を建て込むために、貧配合のコンクリートを薄く敷き均します。
基礎配筋
鉄筋を基礎の形状に合わせて加工し現地で組み立てます。
鉄筋が交差する部分は結束線で固定して、鉄筋のかぶりが保たれるためにスペーサーブロックを配置します。
かぶりは躯体の品質に影響を及ぼすので注意が必要です。
構造的に重要な部分なので建築士による配筋検査で鉄筋径やピッチ、定着、重ね長さ、設備配管周辺の補強筋などをチェックしてもらいます。
住宅会社による設計施工の場合には、専門的な技術力がある現場担当者により構造図の通りに配筋されているか確認することになるでしょう。
建築図面の種類や見方について参考になる記事があります。ご覧ください。
型枠建て込み、締固め
基礎コンクリートを流し込むために合板をパネル状に加工して捨てコンクリート上に建て込み、コンクリート打設の振動や側圧でも耐えられるように側枠を鋼製パイプなどで強固に締め固めます。
型枠の組み立てが不十分だとコンクリートが隙間から漏れたり、基礎側面が変形してしまうと手直しになるので注意が必要でしょう。
基礎コンクリート打設
ミキサー車で運搬したコンクリートを基礎の耐圧盤へ流し込み、バイブレーターを利用しておよそ60cm間隔で振動を与えてコンクリートを行きわたらせます。
コンクリートの締固めが不十分だと基礎表面に空隙ができてしまうジャンカ(豆板)が発生するので注意が必要でしょう。
納品伝票で製品を確認してコンクリートの塩分量や空気量、スランプが設計に適合しているのか確かめます。
立上り部分の型枠建て込み、締固め
外周や内部の立ち上り型枠を建て込み強固に締固めます。
アンカーボルトセット
土台を固定するためのアンカーボルトを型枠にセットして、コンクリート打設でも取り付け位置がずれないように注意することが大切です。
設置個所もアンカーボルトが不足していると耐震性能に影響を及ぼすので注意が必要でしょう。
立ち上がりコンクリート打設
バイブレーターで振動を与えながら立ち上がり部分の型枠にコンクリートを流し込みますが、締固めが不十分だと空隙でジャンカが発生しやすいので注意が必要です。
コンクリート養生
コンクリートの打設が終了したら、しっかり強度が出るまでは荷重や振動を与えないように養生します。
湿潤状態を保つために保護カバーをして5日以上は養生して強度の促進をします。
工期を優先してしまい、すぐに建築資材を搬入したり作業を始めないように注意しましょう。
基礎型枠解体搬出
基礎コンクリートの適正強度が発生したら型枠を取り外して場外へ搬出します。
この時点で基礎のコンクリートの入り具合を点検して、打設不良のジャンカなどが発生している場合には補修が必要でしょう。
・まとめ
基礎工事の重要性を理解して頂いたでしょうか。
建物の内装や屋根、外壁は完成後も確認することは可能ですが骨組みや下地部分、基礎は見え隠れ部分と言って工事の進捗に伴い隠れてしまいます。
工程に沿ってタイミング良く現場に足を運ぶことで、初めて施工状況を確認することができるのです。
建築士や現場担当者に任せることも悪くはありませんが、故意で無くても基礎に不具合が発生する可能性は否定できません。
施主が現場に現れることで基礎工事に携わる関係者の気が引き締まります。
あまりに事細かな指摘をされると煙たがられるでしょうが、自分たちの家なので遠慮せずに現場に出向いて見ましょう。
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