私は建築会社で、現場管理をしていたこともあり、知り合いからも頼られて、建築工事に関する質問をされることが多々あります。
そこで住宅建築の大まかな流れを出来る限り、噛み砕いて説明したいと思います。
・住宅建築の流れ
今回は一般的な規模の住宅で、鉄筋コンクリート構造の建築施工をする例で流れを説明します。
1、整地
マイホームの建築予定の土地を整地する。(雑草は取り除き、盛り土などがある場合には平地に敷きならす)
2、地鎮祭
施主と施工業者で話し合い、地鎮祭の日程を調整して催す。(全ての関係者が集い、工事期間中の安全を祈願する)
3、建物位置出し
遣り方を出す。(建物の位置を現地に再現して、境界線との関係を、設計担当者と施工業者、施主で確認する)
4、根切り
現地に掘削機械を搬入して基礎根切をする。(建築物の基礎部分を設置するために、地盤よりマイナス方向に掘削して残土は搬出する)
5、均しコンクリート
均しコンクリートを打設する。(基礎配筋と基礎型枠を組み立てるために事前に施工する)
6、基礎墨出し
基礎の設置箇所を均しコンクリート上に墨出しする。(図面上の基礎位置を現場に再現する)
7、柱持たし
柱筋を自立させるための仮設を短管パイプで組み立てる。
8、基礎配筋
基礎フーチン、柱脚、地中梁を配筋する。(施工図により事前に、基礎鉄筋は加工されている)
9、基礎型枠
基礎フーチン型枠及び柱脚枠、地中梁の側枠を組み立て、動かない様に締め固める。(基礎の高低差が大きな場合には、複数工程になる場合もある)
10、作業足場
現場作業員が歩行するための地足場を組立。
11、基礎コンクリート
基礎コンクリートの打設。(コンクリートミキサー車で運搬された生コンクリートを圧送車で現場に送り込む)
12、基礎脱型
基礎型枠の解体。(基礎部分のコンクリート強度が確保された後)
13、埋戻し
基礎躯体周りの土を埋め戻して、段階的に蜜実な締め固めをする。(転圧機械により締め固める)
14、設備配管
設備の埋設配管。(水道設備配管)
15、砕石敷き込み
土間部分に砕石を敷き均して固めする。(土壌処理及びポリシート敷き込み)
16、土間配筋
土間部分の配筋及び1階部分の壁差筋を立ち上げる。(コンクリートの止め枠も設置する)
17、土間コンクリート
土間コンクリート打設。(コンクリートミキサー車で運搬された生コンクリートを圧送車で現場に送り込む)
18、1階墨出し
養生期間をおいて1階部分の墨出し。(壁と柱型枠の取り付け位置を土間に再現する)
19、1階配筋
1階部分の柱及び壁配筋。(階段も同時に施工)
20、1階設備配管
電気設備、水道設備、ガズ設備、空調設備の壁内配管。
21、1階型枠
1階部分の柱及び壁外枠建込。(階段も同時に施工)
22、外部足場
外壁部分の作業をするための、外部作業用足場組立。
23、1階型枠締固め
1階部分の柱及び壁内枠建込及び締固めをする。
24、2階床型枠
2階床梁取り付け及び床スラブ枠張り。(建物内部の水平部材)
25、2階床配筋
2階床梁配筋及び床スラブ配筋。
26、2階床配管
2階床部分の設備配管。(電気配管、水道スリーブなど)
27、1階部分コンクリート
2階床コンクリートの打設。(コンクリートミキサー車で運搬された生コンクリートを圧送車で現場に送り込む)
28、養生
養生期間をおいて2階部分の墨出し。(壁と柱型枠の取り付け位置を2階床に再現する)
29、2階配筋
2階部分の柱及び壁配筋。(階段も同時に施工)
30、2階配管
電気設備、水道設備、ガズ設備、空調設備の壁内配管。
31、2階型枠
2階部分の柱及び壁外枠建込。(階段も同時に施工)
32、2階締固め
2階部分の柱及び壁内枠建込締固め。
33、屋根型枠
屋根床梁取り付け及び床スラブ枠張り。(建物内部の水平部材)
34、屋根配筋
屋根床梁配筋及び床スラブ配筋。
35、屋根配管
屋根床部分の設備配管。(電気配管)
36、屋根コンクリート
屋根床コンクリートの打設。(コンクリートミキサー車で運搬された生コンクリートを圧送車で現場に送り込む)
37、1階部分支保工解体
1階部分の型枠支保工解体及び搬出。(養生期間後に側枠、スラブ枠、梁底の順番で型枠を取り外す)
38、1階仕上げ墨出し
1階部分の仕上げ墨出し。(サッシの取り付け位置や水平基準になる墨、壁の基準になる通り心からの逃げ墨を出す)
39、1階サッシ
サッシを搬入及び建て付け。(引違窓や玄関ドアなどの枠部分は、事前に搬入して下枠部分だけ防水モルタルを注入する)
40、サッシモルタル
サッシ廻りの防水モルタル込め。(サッシと躯体を蜜実に連結するために注入)
41、サッシ建てつけ
サッシ本体搬入及び電気、水道、ガス、空調配管。
42、ユニットバス
トイレ及び浴室のユニットバス組立。(在来工法であれば防水施工とタイル貼り)
43、フローリング
床下地組及びフローリング張り。(和室は杉板張り)
44、額縁、間仕切壁
サッシ額縁及び間仕切り壁下地組立。(外壁側の内壁も含む)
45、木製ドア、ボード張り
間仕切り側の木製ドア枠取り付け及び壁ボード張り。(和室は床の間同時施工)
46、天井下地組
天井下地組及びボード張り。(和室は木目調の仕上げ材)
47、内部塗装
内部木周りの塗装。(木製ドアが塩ビシート仕上げ以外の部分)
48、クロス貼り
壁及び天井のビニールクロス貼り。(内部塗装の場合もあり)
49、キッチン
システムキッチン搬入及び据え付け。(レンジフード、吊り棚)
50、衛生器具
設備器具取り付け(電気照明、衛生器具、空調機器、湯沸かし器)
51、2階も同様
2階部分も同じようなサイクルで仕上げ工事をする。(28~50)
52、外壁下地処理
外壁部分の下地処理モルタル補修。(内部工事と同時施工で塗装の下地処理)
53、コーキング
サッシ廻り及び打継目地のコーキング処理。(防水処理)
54、外壁塗装
外壁吹きつけ塗装。(タイルの場合には外壁タイル貼り)
55、防水
屋根防水施工。(仕上げで瓦葺の場合もある)
56、外部器具
外部器具取り付け。(雨どい、設備配管など)
57、クリーニング
内外部廻りクリ―ニング及び外部足場解体搬出。
58、外構
外構工事。(境界塀、門扉、花壇、植栽など)
・住宅建築の確認ポイントはどこ?
通常であれば、住宅を設計された建築士さんが管理されているので安心だと思いますが、一生に一度の大きな買い物ですから、大家として気になる所です。
何十年も住宅ローンを払い続けるのですから当然ですよね。
そこでどこを見たらいいのか?
建築の専門知識のない方が、現場で歩き回ると安全面で心配なので、あくまでも施工業者さん、担当設計士さんの了解を得て一緒に見学してください。
それではまずは、完成してしまうと見ることができない部分が重要です。
これは見え隠れ部分と言って、建物の基礎のように土で埋まってしまうと、見えなくなるようなところを指しています。
基礎コンクリートを打設した後に、埋戻しをして締め固めますが、施工不十分だと後々沈下を起こす原因になります。
躯体ならばコンクリートの養生期間です。
必要な日数を確保しないで、型枠を支えている支保工を解体してしまうと、構造体に影響を及ぼす恐れがあります。
仕上げ工事で言うと、外壁塗装の下地の乾燥期間です。
外壁の吹付塗装は、湿気がある状態だと膨れや剥がれるなど仕上がりに悪影響が出ます。
天候不順が続くと心配されるところです。
このようなポイントもあるんだなと頭の片隅に置いておき、ご自分の施工業者さんや設計士さんと話し合われながら、後悔しない住宅建築を目指されて下さい。
・住宅建築の流れのまとめ
鉄筋コンクリート構造2階建ての、建築施工例を解説。
1、躯体工事
2、内部仕上げ工事
3、外部仕上げ工事
4、設備工事
5、外構工事
大きな区分けは以上になります。
「住宅建築の確認ポイントはどこ?」
見え隠れ部分が要注意。
ご自分の住宅を担当されている業者さんや設計士さんと日頃から意志疎通を図り現場見学すれば新たな発見があるかもしれない。