自然を感じることができる中庭のある家で暮らすには、メリットやデメリットを理解する必要があります。
・中庭のある家に憧れるけど…
念願の中庭のある家で生活してみるとイメージとは違う現実があるようです。
中庭の無い一戸建てと比べるとスタイリッシュで高級感あふれる空間により、非日常を味わうことができると思っていました。
実際は風に飛ばされて舞い上がった枯葉やお菓子の包み紙などが、中庭に溜まるので掃除を怠ることができません。
植栽があることで小さな虫をよく見かけるようになり、虫嫌いな者としては嫌いなエリアになってしまいました。
中庭はお洒落で自然を体感できるメリットばかりに目を奪われてしまい、掃除の手間がかかる事を見落としたことで幻滅する結果になったのです。
普段からガーデニングや家庭菜園をされている方であれば、この程度の掃除くらいなら難なくできることで苦にならないでしょうが、そうでない方にとっては嫌で面倒な作業が増えたことになるのです。
住宅専門誌などに掲載されている優雅で綺麗な中庭のイメージだけに捉われずに、特徴を知りどんなことを自分たちはしなければならないのか理解することで後悔することは無くなるでしょう。
庭づくりでお悩みの方に参考になる記事です。
・中庭(パティオ)のある住宅
中庭の形状は一般的にロの字型やコの字型で庭を建物で囲い込むようにすることで、近隣の住宅や道路などからの視線を遮ることでプライベートな空間を演出することができます。
そんな中庭には、良いことも多いですが、施主の負担となる側面もあるのです。
【デメリット】
排水計画は重要
中庭は建物の外壁が水を溜めこむ形状になっています。
特にロの字型の場合には、排水能力の許容を越える雨量になったらプール状態になり、サッシの下枠部分から浸水することが考えられます。
台風などの豪雨であっても十分水が捌ける排水計画にすることが必要なので、設計を担当される方に確認されて下さい。
定期的な掃除が必要
中庭には雨水を排水するための側溝や集水桝が設置されていますが、強風などに煽られて葉っぱやゴミが飛散して排水設備に蓋をしたり、堆積することがありロの字型の中庭の場合には浸水の要因となります。
シンボルツリーなどの木々があるのであれば剪定しましょう。
降水量が多い場合には、土への浸透はあまり期待できないので定期的にゴミ拾いや溝の清掃をする必要があります。
家事の動線が長くなる
本来であればリビングなどの部屋であればストレートに横移動できますが、中庭があることで廻り込むことになり結果、複雑な動線で遠回りになってしまうことがあります。
対策としては、中庭も素足で横断できるようにウッドデッキを敷き込めば家事の動線も効率よくなり気にならないでしょう。
奥様の負担を軽減できる家事室の記事があります。
光熱費が高めになる
中庭に面する開口部の大きさや位置にもよりますが、外気温の影響を受けやすいので冷暖房の負担が多く掛かります。
サッシなどの断熱性能を高めるなどの対処が必要でしょう。
光熱費を劇的に削減できるゼロ・エネルギー・ハウスの記事があります。
室内の面積が減る
敷地の広さとも関係してきますが中庭を設けることで、間取り的にもリビングや他の部屋の広さに影響を及びします。
どうしても広さを確保しておきたい部屋は、設計段階で優先順位を決めておくといいでしょう。
【メリット】
日光が差し込む
通常は外壁に面していない窓が無い部屋は、自然採光が受けられないのですが昼間でも薄暗く照明が必要です。
それが中庭に面する掃き出し窓から太陽光が差し込むことで明るさをもたらしてくれます。
もっと開放感が欲しいなら外壁の面積を少なくして、FIXサッシで硝子面を増やすこともできるでしょう。
風の通り道になる
中庭の掃き出し窓を解放することで外部に面している窓との風の通り道を確保できます。
間仕切り壁で空間が区切られていても中庭周辺は新鮮な空気が循環することでしょう。
子供の遊び場
庭であれば目を離した隙にお子様が道路へ飛び出してしまったり、不審人物に声を掛けられるなど考えると心配です。
そこで中庭であれば建物で囲まれているので目が行き届くので安心です。
コの字型でも空いている一辺を植栽で目隠しすることで通り抜けを防ぐことは可能です。
草花を育てながらお子様とのコミュニケーションも捗ることでしょう。
防犯上安心感が違う
ロの字型の中庭であれば外部と遮断されているので、窓を開けっぱなし状態でも屋根伝いに侵入する以外考えられられず遮断できるので心配ごとも半減します。
昼寝する際に道路や近隣に面するサッシは、防犯上戸締りすることになりますが中庭部分だけでも開放すれば風が流れて気持が良いことでしょう。
住宅のセキュリティについて参考になる記事があるのでご覧ください。
開放的で広い印象を得られる
中庭の大きさや開口部のサイズや配置にもよりますが、視覚的にガラスから明るい日差しが入り込み別の部屋から見た奥行や広がりが実際よりも広い感覚を得られます。
デザイン性が高い中庭を造るには、経験豊富な設計担当者にどのようなイメージなのかをカタログや画像などでしっかり伝えることが重要でしょう。
プライバシーを保ちやすい
お隣が密集しているとカーテンを開けずらいこともありますが、中庭であれば開けっ放しで視線が気になりません。
見た目を気にしないで洗濯物も干したり、天気が良ければ日光浴だって恥ずかしくないです。
・中庭のある家で快適に暮らすコツ
中庭の目的を明確にする
中庭と言っても採光をメインとして部分的にコンパクトに造る場合と、リビングの延長線上に自然を体感できる憩いのスペースとなると家族が寛げるよう、ゆったりとした広さを確保する必要があります。
建物の形状や中庭の面積にもよりますが外壁面に大型のサッシを設置したり、排水設備や植栽工事などが必要となり工事費が高くなるので、目的を明確にすることで無駄なコストを抑えることができるでしょう。
人間関係を円滑にするスペース
室内でのホームパーティーも良いですが、中庭で太陽の日差しを浴びながら美味しいバーベキューに舌鼓を打てば、開放的な気持ちになりお互い打ち解けやすくなります。
職場の同僚や趣味の仲間の集いや親戚のお祝いなどに、上手く中庭を活用すれば良い人間関係を築けることでしょう
中庭のある住宅を得意とする施工業者
せっかく中庭を造っても排水が上手く機能せずにトラブルが発生したり、湿気でジメジメして不快な思いをすることがあります。
実績が少なく中庭のプランニングが不十分だったり、技術力が低く施工ミスをすると中庭の魅力を半減させてしまう可能性があるのです。
中庭を得意とする注文住宅会社やハウスメーカーから選ばれることを勧めます。
耐震性能を確かめる
中庭のある家は複雑な形状になるためにバランスが悪くなる傾向にあります。
建物の構造や工法にもよりますが構造的に地震に耐えられる建物になっているのか、注文住宅会社やハウスメーカーの試験データーや、実際の地震による倒壊被害などが発生していないか確認されて下さい。
地震対策について参考になる記事があるのでご覧ください。
・まとめ
中庭の魅力やちょっと気になってしまうポイントを御覧頂けたでしょうか。
自宅に中庭を造ることでそこで過ごされる家族が癒され、仕事や家事の疲れを少しでも忘れることができると感じたなら中庭を設ける価値があると思います。
ご家族で話し合われてマイホームにパティオを採用するか決められて下さい。