施主支給はどうしてトラブルが起きるのでしょうか?
どうしたら回避できるのかコツを紹介していきます。
・施主支給でトラブル続出
安くて個性的なシステムキッチンを夫婦で見つけることができました。
取り付けは含まれていないので近所のリフォーム業者にお願いしたのはいいのですが、予想だにしないトラブルで困り果てています。
商品の配達が遅れて予定通りに来ないし、ようやく届いたのに部品が足りなくて接続ができないと業者に言われ慌てて注文。
どうにかキッチンの据え付けが完了したと思ったら、大理石の天板にキズが見つかり怒って業者に取り換えを依頼したら施主支給なので保証外だから対応できないの一点張り。
このような施主支給でのトラブルに陥らないためにもチェックポイントを一緒に見ていきましょう。
・施主支給でトラブルを招かない注意ポイント
どんな商品ですか?
施主支給をお考えの商品はどのような物でしょう。
シャンデリアのような照明器具でしょうか。
それともユニットバスのような水回りの大掛かりな設備でしょうか。
小さめで軽く取り付けが簡単な商品はトラブルが少なく業者も引き受けやすい傾向にあります。
逆に大きな商品は搬入や取り付けが難しく複数の工種との調整が必要となるので、据え付け業者を探すのは難しく慎重になる必要があるでしょう。
キッチンの天板選びでお悩みの方に参考になる記事を書きました。
どれくらい安いですか?
ネットで格安のシステムキッチンを購入してもオプションが含まれていなかったり、型落ちの商品でグレードが低い場合があります。
住宅会社の見積もりの項目詳細と同条件になっているのか確かめる必要があるでしょう。
実物やサンプルを見ましたか?
設計段階で提示されたメーカーのショールームで現物の質感や操作性を実感したり、サンプルで色合いを確認しましょう。
施主支給の場合に写真だけで購入してしまい実物とのイメージの違いに落胆してしまうことが多々起こります。
同じメーカーの現物を近くの施工済みの現場を見学したり、現物サンプルを取り寄せて手に取って確かめる必要があるでしょう。
モデルハウスの見学をお考えの方に参考になる記事を書きました。
誰が取り付けますか?
施主支給の商品は住宅会社に取り付けを依頼される予定でしょうか。
それとも地域に密着した施工店などにお願いされますか。
前者の場合には建築プランや予算面など今まで打ち合わせを繰り返してきたことから、信頼関係も築けているのでトラブルも少なくなるでしょう。
後者の場合には低価格で対応できる業者探せる可能性は高いですが、住宅本体工事との工程や施工調整が必要なる上、内部の壁や床の仕上がり面にキズが付かないようにする養生などの管理面で住宅会社が難色を示す可能性が高いです。
保証はされますか?
完成した後に施主支給された商品に小さな傷が見つかりましたが誰の責任でしょうか?
製造工場で生産された段階での不具合なのでしょうか。
それとも運搬段階の船積みや空路でのトラブルでのキズでしょうか。
現地の倉庫や運搬車両への積み込み時にぶつけてしまったのでしょうか。
住宅現場に商品を搬入して梱包を外して据え付ける段階に工具で引っ搔いた施工ミスでしょうか。
このように一つのキズや凹みでも発生のタイミングや要因は色々考えられます。
責任の範囲を明確にする意味でも具体的なトラブルを想定して保証範囲を事前に取り決めておく必要があるでしょう。
アフターサービスについて記事を書きました。
工期に余裕はありますか?
「新しい年を新居で迎えたい」「新学期は新しい子供部屋で勉強させてあげたい」など住宅を完成させる工期は施主の要望を住宅会社と調整しながら打ち合わせを繰り返し決めていきます。
しかし中には施主の事情で最初から短工期であったり、迷い過ぎて資材承認が遅れてしまい結果的に工期が短くなり、休日や夜間も工事を進める現場も実際あるので施主支給の対応が難しいことがあります。
タイトなスケジュールで施主支給の商品が予定通りに搬入されないことで次工程が入れなくなったり、作業員の手待ちで追加費用を請求される可能性もあるでしょう。
もし工期が遅れてしまえば契約上の問題に発展してしまうこともあります。
施主支給があるのであれば余裕を持った工期設定にした方が良いし、そうでなければ取り付けて完了できる他の工種に邪魔にならない簡素な商品のみを選ばれた方が宜しいでしょう。
打ち合わせする時間はとれますか?
一般的な商品が住宅の建築現場に搬入される流れをご存知でしょうか?
施主や施工店、商品のメーカーとの打ち合わせが頻繁に必要となります。
システムキッチンを例に標準的な流れを見ていきましょう。
【システムキッチンの場合】
1、設計に明記されたシステムキッチンの資料収集と見積もりを依頼。
2、メーカーや業者と価格調整、契約。
3、施主に色などを選んでもらい承認を受ける。
4、オプションやタイプの変更がある場合には工程が間に合うか確かめて、再度1、2を行い追加見積もりを作成して施主に提示する。
5、メーカーに承認図の作図依頼をして細部の収まりをチェックする。
6、工程表に盛り込み搬入のタイミングを決める。
7、現場の進捗状況を加味しながら搬入業者と現場への搬入時間を決める。
8、取り付け位置に不具合が無いか事前に現場を確認する。
10、現場までの搬入経路の確認や駐車スペースを確保する。
11、建物の出入口や仕上がっている床や壁面を必要に応じて養生する。
12、キッチンの商品搬入当日は立ち会って間違いはないか検品して不具合がある場合には、工事を止めないように返品や現地調達できないか敏速に対応する。
13、取り付け作業中に不安全行動をしていないのか巡回して必要であれば指導する。
14、システムキッチンの据え付けが完了したら、承認図と照らし合わせて間違いはないか可動も合わせて検査する。
15、天板や扉にキズが付かないように養生をする。
16、梱包材をまとめて搬出処分する。
これが住宅会社の担当者が行われている作業手順ですが施主支給の場合には、基本的には何から何まで自分で行わなければならず打ち合わせも何度も行う必要があるので認識しておくべきでしょう。
建築の知識が乏しいのであれば本体工事を請け負っている住宅会社の担当者にお願いできれば良いのですが、保証や管理費用が絡んでくるのでトラブルにならないように事前に十分話し合う必要があります。
搬入方法は?
小さなものであれば工事現場に直接配達されても紛失や破損される可能性があるので、施主の仮住まいや住宅会社へ一時的に搬入保管してもらう方が宜しいです。
問題は大きなユニットバスや建築資材であるフローリングのような商品でしょう。
他県から送られてきた商品を運搬車両へ積み替えて現場まで運んできますが、道路が狭くて現場の敷地内まで運べないことがあります。
本来なら据え付け担当の業者が軽トラックで迎えて車上渡しで積み替えて現場に搬入することになります。
このように現場周辺の状況を隈なく把握して搬入計画を立てる必要があるのです。
梱包材の処分は?
商品にもよりますが段ボールや木枠で梱包されていて荷下ろしがしやすく、外部からの衝撃を吸収して商品の破損などが無いようにガッチリと守られています。
施工が終わると梱包材はゴミとなるので産業廃棄物としてコンテナで処分したり、施工会社が回収して持ち帰りヤードでまとめて適正処理することになるでしょう。
これが施主支給となると誰が処分することになるでしょうか?
商品を購入されたメーカーは恐らく引き取らない場合が多いでしょう。
そうなると住宅会社に依頼することになり別途費用を請求されることになります。
住宅会社の反応は?
施主支給は住宅会社にとってはメリットが無いので敬遠される場合が多いでしょう。
施工費以外にも管理費を支払ったとしても商品本体からの利益を得られることができません。
製品の保証も普段から取引があるメーカーでないこともあり難色を示すこともあります。
できるだけ早い段階で施主支給について話し合うことで、住宅会社側の無駄な作業も少なくなり前向きになる可能性が高いです。
それでも上手く行かない時には無理強いして信頼関係を損なうよりも再度、住宅本体トータルでの価格で調整してもらうように働きかけてみましょう。
幾分は調整してもらえるかもしれません。
・まとめ
施主支給の重大なトラブルは知識がないままに商品を購入してしまって現場で不具合が発生して最悪の場合には関連する工事がストップしてしまうことです。
価格以外にも好きなメーカーや外国製の商品を施主支給にされることもあるでしょうが大切なことは、住宅本体を請け負っている業者との信頼関係を崩さないように、お互い協力し合いながら施主支給されることだと思います。
もう一度注意ポイントをご覧になり少しでも施主支給のトラブル回避に参考になったなら幸いです。