マイホームを憧れの吹き抜けにするのか、2階の空間を広く確保して部屋を増やすのか悩みどころです。
失敗しないための吹き抜け確認ポイントを紹介します。
・憧れだけで吹き抜けしていいのか?
吹き抜けとは玄関ホールなどで2階以上の床が取り除かれて、最上階の天井まで突き抜けた高さのある空間で優雅さや開放感を演出できます。
それに伴い声が響いたり冷暖房のコストが高くなる傾向があり、理解していないと後悔することになります。
事前に吹き抜けの特徴を理解してメリットとデメリットを知れば、自宅に吹き抜けを採用する際に迷いも無くなるでしょう。
中庭のある住宅をお考えであれば参考になる記事です。
・吹き抜けを一戸建てに活かすポイント
1、高さによる開放感
玄関から室内に入った瞬間に目に入り、見上げると2階以上の天井が無く突き抜けた感じで、最上階の天井のシャンデリアが見えた状態で圧倒的な開放感により来客はきっと「凄い~広い~」と褒めてくれるでしょう。
狭小住宅でも小さめの吹き抜けを設けることで広い印象でインパクトを与えられます。
【メリット】
縦方向の広がりによる開放感。
2、風の流れが増える
本来であれば床により各階は水平に区切られているので、縦方向には階段からの風の流れ程度しかありませんが、吹き抜けであればストレートに1階から最上階まで風が流れるので換気しやすいです。
リモコンで開閉できる高所用の窓もあるので効率よく手軽に換気できるでしょう。
【メリット】
各階の居室や廊下と1階ホールやリビングの空間が繋がっているので全体の自然換気がしやすい。
通風計画に興味がある方に読まれている記事です。
3、自然採光が増える
吹き抜け部分の壁面に開口を設けたり、最上階にトップライトを設置することで1階から各階の吹き抜けに接続する部屋に自然採光を取り入れやすくなります。
【メリット】
吹き抜けから降り注ぐ日光により、各階が明るく自然採光が部屋の隅々に行きわたりやすくなる。
住宅に天窓をお考えの方に読まれている記事です。
4、家族の存在を感じれる
吹き抜けに面する部分に子供部屋を設けて開口部を付ければ、2階以上にいても声が漏れてきて存在を感じることで安心感が得られます。
声が響くのでちょっとした用事でも呼びかけることで、離れていても意思を伝えることが可能になるので便利です。
【メリット】
吹き抜けにより上下階のつながりが生まれコミュニケーションが取りやすい。
・吹き抜けのデメリット
1、掃除がしずらい
吹き抜けは各階の床が無いためにかなりの高さになるので、窓ふきや天井に設置されている照明器具などの掃除は仮設足場を設置しないと難しいでしょう。
照明をLEDにすれば取り換える頻度は減りますが、ホコリは溜まるので定期的な掃除は必要です。
掃除用の通路であるキャットウォークを設置する方法もありますが、せっかくの吹き抜けの見た目が悪くなります。
高所作業になるので注文住宅会社のアフターサービスや専門の業者に清掃を依頼することを勧めます。
2、プライバシーが保ちにくい
上の階でも吹き抜けに面する廊下を歩いたり会話していれば1階にいても存在を確認できるし、逆に上の階にいても1階でお喋りしていることをある程度は聞き取れるでしょう。
聞きたくなくてもオーディオやテレビの音なども響いてくるので、階毎に二世帯で生活していたり物音を気にされる方がいる場合には向いていません。
3、光熱費が高くなる
高さ方向に空間の広がりがあるので階毎に区切られた状態と比べると、冬には温められた空気は上へ逃げてしまい、夏には大きな開口部からの太陽熱で冷暖房の効率が悪くなり光熱費が高くなる傾向があります。
冬場に家の中での極端な温度差でヒートショックが起きないように、床暖房の採用や高性能エアコンを設置するなどの、吹き抜けの空間も含めた空調計画も必要でしょう。
4、居住面積が少なくなる
本来は各階の廊下や居室である部分が吹き抜けを設けることで、部屋数や面積調整で減らされることになります。
5、結露が発生しやすい
吹き抜け部分の外壁側に大型のサッシを設けることが多いですが、北面の場合には結露が発生しやすいので、ペアガラスや樹脂サッシなど含めた建物全体の断熱性能を高めることで結露を抑制できるでしょう。
6、臭いが上がる
リビングに吹き抜けがある場合には、料理の匂いがダイニングから流れてきてそのまま上階へ抜けていきます。
臭いが気になるようであればキッチンを区切るか、吹き抜けの位置を離れた場所に移動するなど考える必要があるでしょう。
7、転落防止が必要
2階建て以上の高低差が吹き抜けには生じるので、吹き抜け側に窓を設けたり廊下が面する場合には、転落防止の手すりなどを設置する必要があります。
8、天井や壁のクロス貼り替えが高くなる
吹き抜け部分の天井や壁のクロスが捲れてきたり、カビで黒ずんできてリフォームで張替えるには、仮設足場による作業床が必要となるので、組立解体費用がクロスの費用以外に必要となるので通常の部屋と比べると割高になります。
クロス以外の仕上げ材を施工する場合でも同様に作業足場は必要になるので条件は同じです。
9、耐震上の弱点
吹き抜け部分は上階の床が無くオープンな状態になるために、通常の構造と比べると地震時の動きに対して吹き抜け部分がどうしても弱くなるので、補強したり建物全体のバランスを考慮した構造的な検討が必要になります。
建築基準法をクリアすることは当然ですが担当される建築士には「地震は大丈夫ですよね」と確認のために言っておきましょう。
・一戸建て吹き抜けのまとめ
マイホームへ吹き抜けを計画されることにより開放感が生まれ、家族間のコミュニケーションが円滑になるので素晴らしいことだと思います。
ただし時が流れて照明の球が切れても足場が必要なので交換できずに放置状態になったり、内壁に結露でカビが発生してしまっていたら吹き抜けが台無しです。
一生過ごすのですからデメリットも知った上で後悔しないように吹き抜けを計画されて下さい。